「本格ミステリ作家クラブ通信」第7号
2002.7.11

第2回本格ミステリ作家クラブ総会報告

2002年6月22日、日本出版クラブ会館「きくの間」で、第2回本格ミステリ作家クラブ(以下、本格作家クラブ)の第2回定期総会が開催された。

1.議長団の選出

会則の26条に基づき、執行会議のメンバーから以下の議長団を選任した。

議長団は、拍手多数をもって承認された。また議事進行において特に異議のない場合は、拍手で承認することを確認した。

2.定足数の確認

議事に入る前に、定足数の確認を行なった。現在、正会員数は123名(執行会議が承認した新入会員、青井夏海・新保博久・大倉崇裕・鳥飼否宇・浅羽莢子・奥田哲也、柳川貴之各氏を含み、退会された井上夢人氏を除く)。
 出 席41名(最終的に45名)
 委任状49名

合計90名(最終的に94名)となり、正会員数の1/2を越えているので定足数を満たし、会則27条により総会が成立することとなった。

3.本格作家クラブ有栖川有栖会長の挨拶

議事進行の前に、有栖川有栖会長から挨拶があった。

「皆さま、本日はお仕事ならびにサッカー観戦でお忙しい中、多数ご出席いただきありがとうございます。既にお手元に『ジャーロ』が届いていることと思いますが、第2回本格ミステリ大賞は無事に選出され、賛助会員の皆さまの媒体並びに各方面からのお力添えで、ファンの方々も『ジャーロ』の選評を読みながらミステリ談義を交わしていただいていることと思います。賞が決まって数日後、ある書店に行くと、店員さんが『本格ミステリ大賞決定』という手書きのポップを作成されているのを見て、非常に嬉しく思いました。第2回本格ミステリ大賞本選の投票総数は小説部門58票、評論研究部門39票。昨年よりは微増ですが、会員数も増えていますので、投票率は昨年並でした。半数ほどの人に投票していただいていますが、さらに投票数を増やしていければ、賞の重みも増すと思いますので、忙しくてつい投票しそびれた方も、今回は選びかねた方も、積極的な投票をお願いできればと思います。

今回の投票では、若干の無効票が発生しました。いずれも文字数の不足と超過でした。無効票は非常に残念なことです。執行会議でも無効票がなくなるように、投票のフォーマットや注意を工夫していきたいと考えていますので、皆さまも『ついうっかり』で一行多かったり、少なかったりに留意していただければと思います。  嬉しいニュースと、残念なニュースがあるのですが、まず残念なニュースから報告します。井上夢人氏が退会されました。退会理由は『自分は本格ミステリ大賞の投票にも参加しておらず、幽霊会員であるのならば、参加する意味がないので』というものでした。

会員の中には『投票は苦手だ』と考えている方もいらっしゃると思います。本格ミステリ作家クラブは、本格ミステリ大賞を選出するために設立されたことは確かですが、『投票しない自分に、会員の資格があるのだろうか』と、そこばかり考えていただかななくても良いと思います。本格作家クラブには、ベテランの作家の方に名を連ねていただいていますが、そういった方々に趣旨に賛同していただいている、というだけで会の存在の価値や会員の励みにもなると思います。ですから投票だけが会員資格ではないと考えています。井上さんの真摯なお考えは納得できるものですが、だからといって引いてしまわないで、会を皆さまで盛り上げていただければと思います。

いいニュースは、この後の報告で明らかになりますが、会の財政面です。当初本格作家クラブは、まったくお金のないところからスタートして、本当にやっていけるのか心配していましたが、財政に関しては、当面ご安心いただきたいと思います。

軌道に乗ったとは言いましても、本格ミステリ作家クラブ、本格ミステリ大賞とも、一部の熱心なミステリ・ファンしか知らないことも事実です。色々な機会を通して、より多くの方にアピールしていきたいと思います。皆さまのご理解とご協力をいただければ幸いです」

4.期数および役員などの任期について

2000年11月3日に開催した設立総会を定期総会として位置付けるかどうかで、期数の数え方に違いがでることが分かった。この件について執行会議で議論をした結果、設立総会は定期総会と見なさず、昨年の定期総会を第1回、今年の定期総会を第2回総会とするのが妥当ではないかという結論になった。昨年の会員名簿には「第2期」と記載されるなど、期数が解釈によって違っている場合もあったので、今総会で期数を統一することを提案した。

0期:2000年11月3日(設立総会)〜2001年6月23日(第1回定期総会)

1期:2001年6月24日〜2002年6月22日(第2回定期総会)

2期:2002年6月23日〜2003年6月開催予定の第3回定期総会まで

期数の改正にともない、会長、事務局長、監事、執行会議メンバーの任期を、2001年6月24日から2003年6月開催予定の第3回総会までの2期とすることも確認することにした。

この議案は、全会一致で承認された。

5.新入会員の入会承認

議長が、井上夢人氏の退会を報告。執行会議が承認した新入会員を紹介した。

7名の新会員は、全会一致で入会を承認された。

続いて賛助会員の確認が行われた。
  早川書房
  角川春樹事務所
  電通テック大阪支社

電通テック大阪支社は、会員の綾辻行人氏、有栖川有栖会長の作品を配信するJ-フォン有料サイト『Jミステリ倶楽部』を企画・運営しており、本格ミステリ作家クラブの宣伝などに協力していただけるということで、執行会議で承認したことを議長が報告した。

新賛助会員は、全会一致で承認された。

6.新執行会議メンバーについて

執行会議の業務が増え、現執行会議メンバーだけでは業務に支障が出る心配があったことと、来期に任期満了で現執行会議メンバーが全員交代した場合でも、業務の引き継ぎを円滑に行うため、佳多山大地氏と篠田真由美氏を執行会議のメンバーとして招聘した。

新執行会議メンバー2名は、全会一致で承認された。

7.第1期活動報告および会計報告

北村事務局長から、第2回「本格ミステリ大賞」と年刊アンソロジー『本格ミステリ02』編纂の経緯を中心に、<本格ミステリ作家クラブ>の第1期活動報告を行なった(詳細は、第2回定期総会開催通知の際の配布文書を参照のこと)。また講談社と本格作家クラブの事前打ち合わせが十分に行われなかったため『本格ミステリ01』の印税振込みが遅れたことについて、アンソロジー担当の末國が経過報告と関係各位へ謝罪を行なった。

第1期の会計報告が、田中会計担当からあった(同封の収支計算書参照)。昨年の総会で報告した通り、アンソロジーの収入には税金がかかるため、税務署と相談の結果、法人格を取得したこと。法人格の取得にともない、非課税の活動(会費や本格ミステリ大賞運営のための費用)と収益事業の会計を分離したことが報告された。

会計報告については、監事の折原一氏によって監査手続きが行なわれ、2002年5月31日現在の財政状態、及び同日終了の第1期の収支の状況を適正に表示しているものと認められたことも報告された。

以上の報告の後、質疑に入った。

 

質問(鷹城氏) 収益事業にある「一般会計への繰入金支出」は、収益事業の利益を、クラブの活動費にまわしているという理解でよいのでしょうか。

回答 はい。収益事業は、収益を上げることが目的でなく、それによって会の運営を円滑に行うことが目的なので、50万円を一般会計に繰入れた。

 

質問(芦辺氏) 今後、作品集の編纂や講演会など、収益に結び付く事業を行ったり、海外の本格作家との交流事業などを行う予定はありますか。

回答 現在のところ、年間アンソロジー以外には出版の企画もなく、講演会の開催なども俎上に上がっていない。ただ本格ミステリの普及と会員のメリットになることであれば、企画の提案がなされた段階で、前向きに検討したいと考えている。収益事業ではないが、会のホームページの作成については、今期から具体的な作業に入りたい。

以上の質疑を踏まえ第1期会計報告について承認を求めたところ、全会一致で承認された。

8.会則の改正案

会則の改正案について議長から提案を行なった。

 

・第6条「会員たる資格を失う」理由に、第5項として「会費の滞納」を加える。

 

・第19条の「役員及び機関のメンバーは、原則として無給とする」の後に「ただし、会務の遂行に必要な旅費等の経費については、本会がこれを負担することができる。また、執行会議の依頼により会務に携わる会員に関しても同様の扱いとする」を加える。

 

・第35条の本格ミステリ大賞の研究・評論部門について「ただし、雑誌掲載の時点で受賞した作品については、書籍化された際に再び賞の対象とすることはしない」を加える。

 

規約改正について説明後、質疑を行った。

第6条には、以下の意見が寄せられた。

 

質問(河内氏)◆他の会などでは、滞納が3期とか4期など一定期数に達したら退会になるが、今の時点で期間を決める考えはあるか。

回答◆現在の時点で滞納者はなく、滞納があった場合も個々のケースで状況が違うことも考えられるので、滞納者が出た時点で、督促の方法なども含めて検討したい。

 

質問(我孫子氏) 会費の滞納で会員資格を失った場合、滞納した会費を納入することで会員資格を再び得ることができる、ということにしておかなくても大丈夫か。

回答 執行会議では、「本格ミステリ作家クラブ通信」第4号で報告の通り、1期分の滞納があり、次の期で督促して、それに応じなかった場合は退会していただくというアウトラインを作成している。ただ特段の事情があれば考慮したいと考えているし、その時に『2期分を払います』ということになれば、常識的な判断として、その申し入れを受け入れたいと考えている。

 

第35条については、巽氏から「雑誌連載中のAという論文が受賞して、単行本化された場合、その中に、書下ろしや別の雑誌に発表したBやCという論文が収録されていても、その単行本自体が受賞対象にならないのか」という、執行会議が想定していなかった質疑が出された。

 

こうした質疑に対して、北村事務局長から、規約改正案を個別に採決することが提案された。

この提案に従って、まず質疑が出なかった第19条の改正案を採決したところ、全会一致で承認された。

続いて第6条については、「会費の滞納」を規約に明記した上で、実際の運用については執行会議が弾力的に判断することが、全会一致で承認された。

第35条は、文言に誤解を招く表現があったため、提案を取り下げ、総会で出された意見を集約した上で、来年再び採決を行うことになった。その際、千街氏から「受賞作が評論アンソロジーに収録されているなど、必ずしも雑誌掲載でない場合も考えられるが、その時も雑誌掲載に準ずると考えてもよいか」という意見が出され、これも検討課題とすることが確認された。

9.一次アンケート用のリストについて

第2回本格ミステリ大賞一次アンケートと共に送付したリストに関して、会員の方から遺漏の指摘があった。リスト作成をお願いしている会員の山前譲氏に事情を確認したところ、「再刊を含めた日本ミステリー全刊行リストから、需要に応じてその都度手作業で作品を抜き出しているため、遺漏が出た。単純ミスであり他意はない」という旨の回答を得た。

執行会議では、この問題を総会の場で計りたいと考え、総会に提出したことが議長から報告された。

会場からは、リスト送付の継続、中止とも活発な意見が出され、リスト作成のあり方にも貴重な意見が出された。

最終的に、以下の2案に集約して採決したところ、
1 遺漏の可能性はあるが、参考資料としてリストが必要(34票)
2 リストの送付をとりやめる(4票)

との結果になり、リストの送付を継続することになった。

リストのあり方については、総会での意見を踏まえ、執行会議、事務局、山前氏で協議することも確認された。

10.第2期活動報告

北村事務局長から本格作家クラブ第2期活動報告があった。

一、「第3回本格ミステリ大賞」の実施。

一、新役員および執行会議メンバーの選任。

一、会報の発行。

一、名簿の作成。

一、ホームページ開設準備。

一、その他、本格ミステリの普及に関する事業。

11.ホームページの作成について

議長から、本格ミステリ作家クラブのホームページ(HP)の開設についての執行会議での議論を報告し、会のHP作成および維持・更新などの業務をサポートしていただける会員の募集を行った。

第2回本格ミステリ大賞贈呈式の報告

第2回定期総会の後、日本出版クラブ会館「鳳凰の間」で、第2回本格ミステリ大賞贈呈式が、会員・霞流一氏の司会で開催された。

当日は、150名を超える方に出席をいただき盛況のうちに幕をあけた。

北村事務局長から、大賞決定までの経過が報告された後、有栖川会長から、『ミステリ・オペラ』で小説部門を受賞された山田正紀氏、『乱視読者の帰還』で評論・研究部門を受賞された若島正氏へ賞状と正賞が手渡された。

贈呈式の後、各受賞者からお礼の言葉をいただいた。

 

山田正紀氏

「本日は、ありがとうございます。とにかく長い小説ですので、読んでいただいた方にはお礼とお詫びを申しあげます。これに懲りて、あんな長い小説は書きませんので、お許しいただきたいと思います。去年、倉知さんが受賞の挨拶で『審査員に電波を送った』とおっしゃっていたのが印象的だったのですが、私は開票式の時、喫茶店でコーヒーを飲んでいたので、電波を送り忘れてしまいました。どういう電波を送ればよかったのでしょうか。私は賞を取ると鬱になってしまいます。嬉しいことは嬉しいのですが、反動も大きい。日によって上がり下がりが大きくて、今日は上に来ているはずなんですが、どうもそうではなかったようです。本日は、ありがとございますと申し訳ありませんでした、ということでご挨拶に代えさせていただきます」

 

若島正氏

「私は本職で詰将棋作家をやっています。詰将棋とミステリは謎解きということで共通しています。ただ大きく違うところは、詰将棋作家は作家でも、作ってもお金にならないんですが、ミステリ作家はお金になる。私は作ってもお金にならないものを作っているわけですが、この会を記念して懸賞詰将棋を作りました。易しく作りましたので、正解者5名の方に私の著作をプレゼントいたしますので、ご応募ください。今回、本格ミステリ大賞をいただきましたので、本格詰将棋作家を自称しようかと思っています。本日はありがとうございました」

 

受賞者の言葉に続き、日本推理作家協会の真保裕一理事、日本SF作家クラブの神林長平会長からご祝辞をいただいた。綾辻行人氏による乾杯の発声からパーティーとなった。

パーティーの終盤では、若島氏から詰将棋の正解者が発表され、会員の竹本健治氏を始め5名の方に若島氏の著作が贈られた。昨年と同様、大盛況のパーティーは、北村事務局長の挨拶で中締めとなった。

賛助会員説明会の報告

総会に先立って、日本出版クラブ「ももの間」で、賛助会員に向け説明会が開催された。参加いただいた出版社は、e−NOVELS、角川書店、講談社、光文社、実業之日本社、集英社、祥伝社、東京創元社、徳間書店、原書房、双葉社、文藝春秋、メディアファクトリー(50音順)の13社。

説明会には、執行会議から笠井潔が出席。担当の笠井潔から、会の活動へ対するご理解とご協力へのお礼と、今後の活動に対するご支援のお願いを行なった。

ホームページの作成について

総会報告の通り、執行会議では、本格ミステリ作家クラブのホームページ(HP)の開設について、1年間をかけて検討を行なってきた。

HPの作成を作成業者に依頼した場合、開設時に約100万円、更新に2〜3万円ほどの費用がかかることが分かった。現在の会の財政を考えると、初年度に約150万円、その後は年間約50万円ほどの維持・更新費は、支出できない金額ではない。ただ会員の中にはHPを作成している人も多く、HPの開設や維持・更新を会員の手で行なうこともできるのではないか、という意見も出された。

執行会議では、こうした議論を踏まえ、総会でHP作成および維持・更新などの業務をサポートしてくれる方を募集することにした。

HP作成に協力しようという会員は、事務局、執行会議メンバーまで申し出ていただけると幸いである。

贈呈式、パーティーの収支報告

[収入] 会員会費     592,000円 賛助会員会費   580,000円 お客様負担分   190,000円    小計 1,362,000円 二次会会費    132,000円    合計 1,494,000円

[支出] 会員年会費分   186,000円 出版クラブ支払  833,959円 二次会支払    163,800円    合計 1,183,759円

[収支]     31,0241円

 

収支の黒字分は、寄付金扱いとして、会の運営にまわすことにした。なお、本件を含む会計の詳細については、2003年6月開催予定の総会で、改めて報告する。

会員名簿

会則の改正を含め、「会員名簿」を更新します。住所変更、非公開項目、担当者変更等、連絡は事務局宛7月25日までにお願いします。

以上

 

<本格ミステリ作家クラブ>「ジャーロ」内事務局

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