第3回「本格ミステリ大賞」受賞作発表の訂正に関する経緯

 皆様方には、日頃、本格ミステリ作家クラブに御支援いただき厚く御礼申し上げます。
 さて、別途お知らせいたしましたとおり、この度、公開開票会の場における執行会議のメンバーの不手際により、票の取り違えという事態を招いてしまいました。そのため、大賞決定の一部にあってはならない齟齬を生じ、結果の訂正を行なう事態となりました。対象者並びに関係者の皆様に御迷惑をかけましたことを深くお詫び申し上げます。また、その経緯をここに御説明いたします。
 
 大賞の選出方法ですが、クラブが事前に選定した候補作(今回は小説部門5作、評論・研究部門4作)を会員が読み、各部門につき大賞に相応しいと思った作品に一票を投じます。投票用紙は、クラブの定めた封筒に入れて投函することが規定されており、それを公開開票会の場で開封して、投票数を集計し、大賞を決定します。
 
 投票用紙は、[小説部門]と[評論・研究部門]各1枚ずつ用意され、それぞれ、会員名、作品名、選評(400字升目あり)を書くようになっています。選評は200字以上、400字以内と定められていて、逸脱は失格になります。また、投票用紙は、以上の要件が満たされていれば、別の用紙にワープロ等で印刷したものでも「可」となっています。
 
 公開開票会での開票手順は次のとおりでした。開封を佳多山大地、用紙の振り分けを貫井徳郎、字数確認を篠田真由美・二階堂黎人・田中博(複数同時進行)、票の読み上げを北村薫が担当しました。
 
 今回のミスは、野崎六助氏の投票用紙の字数確認の際に起こりました。氏の投票用紙は、クラブの用意した投票用紙を使わずに、[小説部門]と[評論・研究部門]の表題部分(クラブ員名と作品名を記した部分)のみで1枚、両方の選評部分のみで1枚という形で記入され、印刷されたものでした。
 投票用紙の文字数を最初に数えたのは田中です。[評論・研究部門]への選評の字数が規定を超えていることが解り(これを無効票とし)、二階堂が字数の再確認をして合否のサインを入れました。また、各表題部分を各選評部分に合わせるため、それぞれの投票用紙を半分ずつに切り分け、ホチキスで各部門ごとに留めたつもりでした。しかし実は、この時に、表題部分と選評部分とを取り違えて貼付してしまったのです。開封作業終了後、末國(小説部門担当)と田中(評論・研究部門担当)が、開票結果と投票用紙を対照し、票数の最終確認を行いましたが、その時、野崎氏の小説部門への投票は、無効票として、棄権を表明した票などと合わせて別に管理していたため、ここでもミスを発見することができませんでした。
 以上の結果、本来、『オイディプス症候群』への一票となる票が無効票となり、無効票となるべき票が、『迷宮逍遙』への有効票となってしまいました。
 
 その後、すべての選評を「ジャーロ」誌に掲載するため、事務局で入稿確認をしていたところ、上記のような間違いの存在が判明したわけです。
 執行会議では、ただちに、票数の再確認を行ない、審議の上で結果発表を正しく行ない直すことに決定しました。すなわち、『オイディプス症候群』への投票数を全16票に、『迷宮逍遙』への投票数を全3票に訂正するしだいです。
 よって、今回の[小説部門]大賞受賞作は、『GOTH リストカット事件』と『オイディプス症候群』の二作が16票ずつで同時受賞になります。[評論・研究部門]はすでに発表のとおり変わりありません。以下が正式な結果です。
 
[小説部門]
『オイディプス症候群』笠井潔(光文社)
『GOTH リストカット事件』乙一(角川書店)
 
[評論・研究部門]
『探偵小説論序説』笠井潔(光文社)
 
 本格ミステリ作家クラブ執行会議では、多くの方に御迷惑をかけたことを深く反省し、今後、二度とこのような間違いを起こさないよう徹底を図り、万全を期す所存です。どうぞ御理解と御寛容を賜わりますよう、よろしくお願い申し上げます。
(なお、笠井潔氏、有栖川有栖氏は、候補者ということで今回の投票は棄権しており、また開票・集計作業にも関わっていなかったことを付記させていただきます)。

2003.5.20
本格ミステリ作家クラブ事務局長 北村 薫
執行委員 佳多山大地、篠田真由美、末國善己、田中博、二階堂黎人、貫井徳郎