「本格ミステリ作家クラブ通信」第83号

1.第22回「本格ミステリ大賞」候補作決定

【小説部門】候補作(タイトル50音順)
『蒼海館の殺人』阿津川辰海(講談社タイガ)
『大鞠家殺人事件』芦辺 拓(東京創元社)
『救国ゲーム』結城真一郎(新潮社)
『黒牢城』米澤穂信(KADOKAWA)
『六人の嘘つきな大学生』浅倉秋成(KADOKAWA)

【評論・研究部門】候補作(タイトル50音順)
『犬神家の戸籍 「血」と「家」の近代日本』遠藤正敬(青土社)
『新世代ミステリ作家探訪』若林 踏(光文社)
『短編ミステリの二百年1~6』小森 収(編)(創元推理文庫)
『法月綸太郎ミステリー塾 怒濤編 フェアプレイの向こう側』法月綸太郎(講談社)
『米澤屋書店』米澤穂信(文藝春秋)

 第22回「本格ミステリ大賞」候補作決定のための予選会は2月12日に、大賞運営委員・霧舎巧、鳥飼否宇、福井健太の立ち会いのもと、予選委員・大倉崇裕、川辺純可、波多野健、水生大海、若林踏によってリモート会議の方式で行われた。

▼選考経過

【小説部門】
 昨年度に続き、今回もコロナ禍の状況を踏まえ、予選会はリモートでおこなわれた。  予選委員が挙げた推薦作は、相沢沙呼『invert 城塚翡翠倒叙集』、浅倉秋成『六人の噓つきな大学生』、阿津川辰海『蒼海館の殺人』、芦辺拓『大鞠家殺人事件』、潮谷験『時空犯』、知念実希人『硝子の塔の殺人』、柄刀一『或るギリシア棺の謎』、三津田信三『忌名の如き贄るもの』、結城真一郎『救国ゲーム』、米澤穂信『黒牢城』の十作品だった(著者五十音順)。
 このうち、予選委員全員が推した『大鞠家殺人事件』がまず候補作に決まった。四人の予選委員が推薦した『蒼海館の殺人』と『黒牢城』も、残る一名がそれぞれ「推さない理由はない」として、異論なく決定した。三作品とも本格ミステリの評価の高さに加え、『大鞠家殺人事件』は時代風俗の融合と描写に秀でている点、『蒼海館の殺人』はディザスター小説の魅力も兼ね備えている点、『黒牢城』は歴史小説としても読ませる点、などがプラス要素になった。
 その後、残る二席を巡り議論を重ねた結果、『invert 城塚翡翠倒叙集』『硝子の塔の殺人』『忌名の如き贄るもの』が候補から外れることになった。『invert 城塚翡翠倒叙集』は倒叙を超えた叙述トリック、『硝子の塔の殺人』は新本格ミステリの先鋭化、『忌名の如き贄るもの』は物語の作り方のうまさ、などが推薦者の口から熱く語られたが、本年度はほかの作品が粒ぞろいだったため、推薦者はそれぞれの票を他作品に回すことになった。
 続いて、構成力と伏線の巧みさが評価された『六人の噓つきな大学生』、特殊設定ミステリの本年度最高作と評された『時空犯』、論理の緻密さが好評だった『或るギリシア棺の謎』、ドローンのトリックの論理展開に賛辞が送られた『救国ゲーム』の四作品で多数決がおこなわれた。結果、全員が手を挙げた『六人の噓つきな大学生』がまず候補作に決まった。『或るギリシア棺の謎』は賛同が得られず、ここで選から漏れた。票が割れた『時空犯』と『救国ゲーム』では、もともと推薦者(最初に五作品を挙げた段階で)の数が多かった『救国ゲーム』が、再投票することなく候補作に決まった。全体を通して、各予選委員から「六作品選ぶことが出来たらよかったのに」という声が度々聞かれ、実際の票数ほどの差はついていない良作に恵まれた予選会となった。(霧舎 巧)

【評論・研究部門】
 予選委員の推薦作に挙げられたのは、法月綸太郎『法月綸太郎ミステリー塾 怒濤編 フェアプレイの向こう側』、米澤穂信『米澤屋書店』、若林踏『新世代ミステリ作家探訪』、鈴木優作『探偵小説と〈狂気〉』、小森収編『短編ミステリの二百年 6』、遠藤正敬『犬神家の戸籍 「血」と「家」の近代日本』、佳多山大地『新本格ミステリを識るための 100 冊 令和のためのミステリブックガイド』、小森収編『短編ミステリの二百年』(選集として)、竹内康浩・朴舜起『謎解きサリンジャー 「自殺」したのは誰なのか』、鯨統一郎『金閣寺は燃えているか?』、書評七福神編著『書評七福神が選ぶ、絶対読み逃せない翻訳ミステリベスト 2011─2020』の十一点だった。
 投票先の変更を確認し、候補者でもある若林が離席(映像と音声を遮断)した後、各作品の検討が始められた。著者以外の四人が推した『新世代ミステリ作家探訪』は、インタビューの人選や創作法に踏み込む姿勢が支持を受け、最初の候補作に決定。ここで若林が席に戻り、改めて会議に加わる形になった。  本への愛情を感じさせる、若い読者の参考になる──などの意見を集めた『米澤屋書店』が全会一致で候補作に決まり、残りの三枠についての議論に移った。『フェアプレイの向こう側』は解説が中心でも世界観を持つ評論書になり得る実例として四票を得た。戸籍という切り口が注目された『犬神家の戸籍』は三票を獲得。『短編ミステリの二百年』は全六巻を纏めて評すべきだという結論に達した。
 二票が入った『新本格ミステリを識るための 100 冊』には、独自性を買う半面、一冊ごとの内容が浅いという意見も出た。『探偵小説と〈狂気〉』はテーマの魅力を強調したうえで、主要文学や現代に繫がる視点の乏しさが指摘された。『金閣寺は燃えているか?』は楽しい読み物であると判断された。『書評七福神が選ぶ、絶対読み逃せない翻訳ミステリベスト』には、現代翻訳ミステリ合評の意義を認めながらも、七人居ても偏りが生じる時評の難しさを指摘する声が多かった。
 会員アンケートで支持を得た瀬戸川猛資・松坂健『二人がかりで死体をどうぞ』は、国内ミステリ関連の内容が弱く、貶し文句に難があるとされた。この時点でゼロ票だった『謎解きサリンジャー』を除いて再投票を行い、満票の『短編ミステリの二百年 1~6』と四票の『フェアプレイの向こう側』『犬神家の戸籍』が候補作に決定した。(福井健太)

▼選評

◎大倉崇裕
 初めての参加ということで緊張して臨みましたが、二〇二一年を総括する、珠玉の作品たちが選ばれたと思います。
 【小説部門】では、『invert 城塚翡翠倒叙集』を予選委員推薦作としました。残念ながら候補とはならなかったのですが、実に挑戦的な本格ミステリの傑作として記憶に留めるべきと考えます。また『時空犯』もギリギリ選に漏れてしまいました。これはちょっと残念。推しが足りませんでした。
 【評論・研究部門】の各作品はどれも実に刺激的でした。最終的に、過去、現在、国内、海外と言った要素がバランス良く配されている候補作群になったと思います。個人的には一推しであった『探偵小説と〈狂気〉』が候補とならなかったのは残念ですが、『短編ミステリの二百年』を 1~6 という形で候補とできたことは良かったと思っています。
 どの作品が大賞を射止めるのか、まったく予想がつきません。本選が楽しみです。

◎川辺純可
 今年は、両部門とも大変な豊作だったのではないでしょうか。候補作はもちろん、その他の作品も質が高く「せめて、あと一つ枠があれば」と何度も頭を抱えました。
 小説部門では SF としても秀逸な『時空犯』。骨太の世界観と古典的な謎解きの融合がすばらしく、候補に残せなかったことが残念でなりません。
 評論・研究部門でも「新青年」時代の息吹がダイレクトに伝わる研究論文『探偵小説と〈狂気〉』や、近年の翻訳ミステリを多角的な視野で紹介した書評集『書評七福神が選ぶ、絶対読み逃せない翻訳ミステリベスト 2011─2020』など、お薦めしたい良本がまだまだたくさんありました(……つらい、つらい)。
 最後にわたくしごと。重大なお役目も今回で終了。力不足ながら、「ミステリ愛」を手放さぬよう、真摯に取り組んだミッションでした。ご縁に感謝しつつ、混戦必至の最終結果を待ちたいと思います。

◎波多野健
 古典的な『大鞠家殺人事件』、社会的問題を本格だからこその切り口で扱う『救国ゲーム』、連作短編を長編化して歴史小説の域に踏み込んだ『黒牢城』を推す。私が推した『或るギリシア棺の謎』は、同じくロジックの妙技を追求する『蒼海館の殺人』に全体として競り負けた。『六人の噓つきな大学生』は論理の運用に問題を感じるが、プロットが素晴らしいので同意した。『硝子の塔の殺人』は推し切れなかった。特殊設定に『時空犯』ありだが五作には及ばなかった。
 評論作品は最上の部分で評価されるべきで、そういう図抜けた作品論・作家論は、小森作品なら、「ジェミニー・クリケット事件」論、法月作品なら、『死霊』論とロス・マクドナルド『一瞬の敵』論だ。米澤作品は米澤穂信論に、若林作品は現代新進作家論になっていて、印象批評の寄せ集めでないので推した。ミステリ批評の方法論で純文学を扱った『金閣寺は燃えているか?』だったが、推し切れなかった。『犬神家の戸籍』は骨董趣味以上に研究として優れていた。

◎水生大海
 小説部門も評論・研究部門も挙げられる作品は五作。けれど六作の枠があればいいのにとさんざん悩みました。『忌名の如き贄るもの』を最後まで推し通せなかったのは残念でしたが、ボーダーラインで天秤にかけていた作品が残ったので、結果に異論はありません。どれも魅力的な力作で、方向性もバラエティに富み、ここからさらに一作をどう決めるのか、みなさまどうぞ一緒に悩んでください(……五作選ぶのも大層疲れました)。
 評論・研究部門に対して私は、ブックガイド、解説や評論をまとめたもの、何らかのテーマ・切り口を掘り下げたもの、の三つの観点で絞りました。もちろん複数の要素を持つ作品もあります。最終候補作は皆オリジナリティや視点の新しさがあり、いいバランスだと納得しています。推したけれど選に洩れた『書評七福神が選ぶ、絶対読み逃せない翻訳ミステリベスト 2011─2020』も現代作の翻訳ミステリブックガイドとして面白いですよ。

◎若林踏
 小説部門の結果については、恰幅の良い物語を描いたベテランの作品と、謎解きの可能性を広げる新進の作品が候補に残り、概ね満足している。強く推した潮谷験『時空犯』を残せなかったのが唯一の心残りである。しかし著者はデビューから一年未満の新人だ。今後の活躍に期待したい。
 評論・研究部門だが、自著である『新世代ミステリ作家探訪』について議論には加わらなかったことをまず記しておく(予選会前、運営委員に確認のうえ、先例に倣い対応した)。こちらも小説部門同様、結果について異存はないが、作品の対象範囲に関するルールについて議論が費やされた点については「事前の整備がもっと必要では」という気がする。過度に厳密な規定を行うことは避けるべきだが、ある程度は詳細な指針を明文化しておく方が望ましいだろう。今回で私の任期は終了するが、今後の予選会が一層スムーズに進行できるよう、事務局および運営委員に御願いする次第だ。

▼候補作アンケート

34通(郵送20通、メール14通)
*31→33→42→36→35→37→30→30→27→30→27→39→36→34 と、昨年よりやや減少。

【アンケート結果】(タイトル五十音順)

◎小説部門
『蒼海館の殺人』阿津川辰海 講談社
『あと十五秒で死ぬ』 榊林銘 東京創元社
『雨と短銃』 伊吹亜門 東京創元社
『或るギリシア棺の謎』 柄刀一 光文社
『忌名の如き贄るもの』 三津田信三 講談社
『invert 城塚翡翠倒叙集』 相沢沙呼 講談社
『大鞠家殺人事件』 芦辺拓 東京創元社
『泳ぐ者』 青山文平 新潮社
『オルレアンの魔女』 稲羽白菟 二見書房
『影踏亭の怪談』 大島清昭 東京創元社
『硝子の塔の殺人』 知念実希人 実業之日本社
『甘美なる誘拐』 平居紀一 宝島社
『救国ゲーム』 結城真一郎 新潮社
『兇人邸の殺人』 今村昌弘 東京創元社
『境内ではお静かに 神盗みの事件帖』 天祢涼 光文社
『幻月と探偵』 伊吹亜門 KADOKAWA
『コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎』 笛吹太郎 東京創元社
『黒牢城』 米澤穂信 KADOKAWA
『孤島の来訪者』方丈貴恵 東京創元社 ※2020年刊のため選外
『サーカスから来た執達吏』 夕木春央 講談社
『時空犯』 潮谷験 講談社
『推理大戦』 似鳥鶏 講談社
『蝶として死す』 羽生飛鳥 東京創元社
『トリカゴ』 辻堂ゆめ 東京創元社
『Butterfly World』 岡崎琢磨 双葉社
『花束は毒』 織守きょうや 文藝春秋
『Four Eyes 姿なき暗殺者からの脱出』 SCRAP&稲村祐汰 SCRAP出版
『ボーンヤードは語らない』 市川憂人 東京創元社
『僕が答える君の謎解き2』 紙城境介 星海社
『マザー・マーダー』 矢樹純 光文社
『ミステリー・オーバードーズ』 白井智之 光文社
『密室は御手の中』 犬飼ねこそぎ光文社
『指切りパズル』 鳥飼否宇 南雲堂
『四元館の殺人』 早坂吝 新潮社
『六人の嘘つきな大学生』 浅倉秋成 KADOKAWA

◎評論・研究部門(タイトル 50 音順)
『犬神家の戸籍 「血」と「家」の近代日本』 遠藤正敬 青土社
『エラリー・クイーン完全ガイド』 飯城勇三 星海社
『金閣寺は燃えているか?』 鯨統一郎 東京創元社
『書評七福神が選ぶ、絶対読み逃せない翻訳ミステリベスト 2011-2020』 書評七福神(編著) 書肆侃侃房
『新世代ミステリ作家探訪』 若林踏 光文社
『新本格ミステリを識るための 100 冊』 佳多山大地 星海社
『探偵小説と〈狂気〉』 鈴木優作 国書刊行会
『短編ミステリの二百年 1~6』 小森収(編) 東京創元社
『短編ミステリの二百年 6 』 小森収(編) 東京創元社
『謎ときサリンジャー 「自殺」したのは誰なのか』 竹内康浩・朴舜起 新潮社
『フェアプレイの向こう側 法月綸太郎ミステリー塾 怒涛編』 法月綸太郎 講談社
『二人がかりで死体をどうぞ』 瀬戸川猛資・松坂健 書肆盛林堂
『米澤屋書店』 米澤穂信 文藝春秋
『令和探偵小説の進化と深化 特殊設定ミステリ座談会』 小説現代九月号 講談社

▼今後のスケジュール

05月10 日(火) 消印有効にて投票〆切
05月13 日(金) 開票式
06月25 日(土) 総会・贈呈式
15:30~17:00 総会
17:30~19:30 贈呈式
(なお、総会ついては今年も昨年と同様、直接の出席人数を抑えた開催とし、贈呈式も関係者のみでの開催、パーティは行わないことにいたします。ご了承願います)
06月 26日(日) 受賞記念座談会予定

3.第22回「本格ミステリ大賞」開票式について

 新型コロナウイルス感染が収束していない現状を考慮し、5月13日に行われる開票式も昨年と同様、非公開とせざるを得なくなりました。
 開票作業と結果発表は執行会議メンバーで執り行います。

5.第23回「本格ミステリ大賞」予選委員決定のお知らせ

・大倉崇裕氏(継続)
・波多野健氏(継続)
・市川憂人氏
・今村昌弘氏
・宇田川拓也氏

6.退会会員

・村瀬継弥氏 12 月 22 日退会の申し出あり

(2022.03.14発行)

「本格ミステリ作家クラブ通信」第82号

1.第21期総会・第21回「本格ミステリ大賞」贈呈式までのスケジュール

 12月10日(金) 推薦作アンケート用紙を配布(*会員向け。本「会報」に添付)
 01月07日(金) アンケート〆切(FAX・メール同日有効。郵送の場合は消印有効)
 02月12日(土) 候補作選考委員会=大倉崇裕、川辺純可、波多野健、水生大海、若林踏(五十音順)
*候補作家の承諾確認後、候補作決定「速報」をメールで通知(大賞運営委員=霧舎巧、鳥飼否宇、福井健太)
 02月下旬 候補作の選考経過と本選「投票用紙」を全会員に配布。
 05月10日(火) 消印有効にて投票〆切
 05月13日(金) 公開開票式
 06月25日(土) 総会・贈呈式パーティ
         15:30~17:00 総会
         17:30~19:30 贈呈式
 06月26日(日) 受賞記念トークショー&サイン会(都内某所、詳細未定)
※公開開票式、総会・贈呈式パーティ、トークショー&サイン会は、その時点の新型コロナウイルス感染拡大の状況を見ながら開催方式を検討します。

4. 太田忠司事務局長からの報告

 本格ミステリ作家クラブ事務局長の太田忠司です。
 ご存知のとおり、今年度から本格ミステリ作家クラブ事務局は創設以来担当していた光文社から東京創元社へと移管されました。
 昨今の出版業界の状況による編集部の人員削減もあり、事務局の仕事を引き受けることが困難になったというのが、移管の理由です。
 ただ、新しく事務局を引き受けることとなった東京創元社とて状況に変わりはなく、やはり事務局の仕事は大きな負担となります。
 これからも本格ミステリ作家クラブを継続させ本格ミステリ大賞を今までどおり運営していくためには、事務局業務の健全化が必須の課題です。なので新しい事務局では従来の業務内容を見直し、省力化を図ることにいたしました。
 そのために会員の皆さんにも3点、ご協力いただきたいことがあります。以下にその内容をお伝えいたします。

 ①本格ミステリ作家クラブ通信のメール送付
 第82号を発送いたしました。お送りするのが遅れたことをお詫びいたします。
 従来、本格ミステリ作家クラブ通信(以下、通信と略します)は印刷したものを郵便にて送付しておりました。
 この形式は多大な時間と労力を必要とします。編集を終えた文書を印刷し折り畳み、宛先を印字した封筒に収めて投函する。これを200名近い会員全員に送っていました。到底、片手間では済まない作業量です。
 また用紙代、印刷代、郵送費も馬鹿にはできない負担となっております。
 以上の観点から、今後は通信をメールにて送付することにしたいと考えています。
 具体的には、従来の印刷物での送付は今回の82号までとし、その後はメール送信といたします。
 ただし、メールを使っていないなどの理由で従来どおりの印刷物でなければ困るという方がいらっしゃいましたら、事務局までご連絡ください。しかるべく対処いたします。

 ②年会費納入の簡略化
 会費については、これまでは総会および大賞贈呈式に出席いただいたときに現金で徴収することが多かったのですが、ご存知のとおり新型コロナ感染拡大により総会も贈呈式もリアルでは行えなくなり、徴収の機会もなくなりました。来年は総会も贈呈式もリアルで行いたいという希望を持っておりますが、これも状況次第でどうなるかわかりません。
 となると、会費を納入していただくためには振込しか方法がありません。
 本格ミステリ作家クラブには***銀行と***銀行に口座を持っております。これまではそのどちらかに振り込んでいただくことにしておりました。しかしこれも事務局業務のスリム化のため、ひとつに集約したいと考えています。
 事務局からは***銀行は振込された会員の名前が確認しにくいなど管理が難しいとの指摘があり、そのため今後は、会費を以下の口座にお振り込みいただくよう、お願いいたします。

 ③本格ミステリ大賞推薦作アンケート回答のペーパーレス化
 この会報に同封している推薦作アンケートも、通信と同じ理由から次回以降はメールにて回答をいただくことにしたく思います。
 これも通信と同じくメールを使っていないなどの理由で従来どおりの印刷物でなければ困るという方がいらっしゃいましたら、事務局までご連絡ください。しかるべく対処いたします。
 なお、今回のアンケート用紙から本格ミステリ作家クラブのクラブ印押印を廃止いたしました。

 今後もいろいろと検討を加え、クラブのサスティナブルな運営を目指していきたいと考えています。
 この件を含め、ご意見などありましたら、事務局宛てご連絡ください。
 よろしくお願いいたします。

 事務局長 太田忠司

5.退会会員

・権田萬治氏 11月2日退会の申し出あり
・田奈純一氏 11月8日ご逝去
・ブックリスタ(賛助会員) 11月10日辞退の申し出あり

(2021.12.10発行)

「本格ミステリ作家クラブ通信」第81号

1.第21回本格ミステリ作家クラブ総会の報告

(1)議長団の選出
 会則26条に基づき、執行会議のメンバーから以下の議長団を選任した。
 議長・廣澤吉泰 書記・千澤のり子
 議長団は拍手多数をもって承認された。また議事進行において特に異議のない場合は、拍手で承認することを確認した。

(2)東川篤哉会長の挨拶
 お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。顔を合わせる機会もあまりないので、いろいろとご意見をいただければと思います。

(3)定足数の確認、入退会者の承認
 出席者11名、委任127名で、合計138名となり、正会員数の199 名の半数を超えているので定足数を満たし、会則27条により総会が成立した。
 続いて執行会議が承認した新入会員について議長から簡単な紹介をした後、

 孔田多紀氏(円堂都司昭/東川篤哉=推薦)
 佐藤青南氏(貫井徳郎/太田忠司=推薦)
 藤也卓巳氏(織守きょうや/青柳碧人=推薦)
 床品美帆氏(光原百合/太田忠司=推薦)
 以上4名の入会が全会一致で承認された。
 また、本人都合により会員の篠田秀幸氏の退会が報告された。

(4)第20期活動報告 議案書参照
 コロナ禍のため、掲示板上で執行会議を継続した。第21回本格ミステリ大賞のスケジュールと詳細、アンソロジー文庫の進行確認、決定を行った。

(5)第20期会計報告 別紙参照
 監事である竹本健治からの監査報告書を議長の廣澤吉泰が代理で読み上げた。

(6)第21期予算案 議案書参照

(7)現執行会議体制の延長について
 現執行会議体制は2021年総会までが任期となっているが、コロナ禍により改選が行えない現状であるため、今回に限り1年延長となった。

(8)事務局変更
 設立以来事務局を担当していた光文社から降板の申し出があり、東京創元社が引き継ぎを受託した。本格ミステリ大賞の公開開票式の会場は今後も光文社のプレゼンテーションルームにて行う。
 選評は東京創元社から刊行される新雑誌の誌面上で掲載となる。

(9)20周年企画について
 2010年代ベスト海外本格ミステリの選考が行われた。受賞作はアンソニー・ホロヴィッツ『メイン・テーマは殺人』で、選考座談会と受賞者の言葉は「ジャーロ」に掲載された。

(10)今後の運営について
 議長より新規会員の勧誘活動など今後のクラブ運営に関する協力を依頼する呼びかけがあった。

 1.事務局より事前にメールで募った会員の意見が公開された。  真田啓介ミステリ論集『古典探偵小説の愉しみ』が本格ミステリ大賞の評論研究部門から取り下げられたことに関する意見について。
 刊行部数の少ない作品や同人誌が候補にあがった場合、事前に残部を確認する。
 PDFで回覧を提唱した意見もあったが、著作権問題に抵触するので却下された。
 会員の購入が行き渡らない作品を候補にするか否かは、各年の予選委員の判断に任せる。
 今後の課題となるため、内規で引き継いでいくとなった。

 2.事務局変更に伴う年会費の納入について
 会報発送時に郵便振替用紙を同封していたが、***銀行口座では手続きが煩雑になる。
 他の銀行口座では手数料が本人負担となるが、引き継ぎを円滑に行うことができる。
 口座番号を一斉メールで伝えるべきかと案が出たが、執行会議にて喫緊の課題とする。

 3.早くパーティーで再会したいという感想が会員からも多く寄せられている。

2.第21回本格ミステリ大賞 受賞者のコメント

 〔小説部門〕『蟬かえる』櫻田智也

 ◎櫻田智也氏のコメント
 完成した絵の外側にピースが何片か余るような。もしかしたらそのピースの嵌まる場所が、まだどこかにあるかもしれないような。探偵役の推理の対象が、理解しきることのできない誰かの心である以上、そんなパズラーにならざるを得ませんでした。本格ミステリと認めて評価いただき、誠にありがとうございます。殊勝な物言いに隠した、はしたないほどの悦びを、わが探偵・魞沢 泉(えりさわ せん)にあばかれずに済むのは作者の役得であり、幸いです。

 〔評論・研究部門〕『数学者と哲学者の密室 天城一と笠井潔、そして探偵と密室と社会』飯城勇三

 ◎飯城勇三氏のコメント
 このたび、一度でも光栄な〈本格ミステリ大賞〉を三度もいただき、喜びと興奮を感じています。票を投じてくれた皆さんには、あらためてお礼を申し上げます。ただし、今回の受賞に関しては、私の実力だけではありませんでした。本書は、天城一さんと笠井潔さんが書いたすばらしい作品の数々と書簡がなければ、受賞はできなかったでしょう。このお二人には、心から感謝します。そして、『本格ミステリ戯作三昧』に続いて、またしても風変わりな本を出してくれた南雲堂の星野氏にも感謝の言葉を。次作『本格ミステリの構造解析』も、よろしくお願いします。最後に、私の本を読んでくれた方々にお礼を。この本がきっかけになり、天城作品や笠井作品に手を伸ばしてくれたら、あるいは、新たな魅力を感じてくれたら、作者としてはこの上ない喜びです。

3.新入会員の紹介

櫻田智也氏(廣澤吉泰/青柳碧人=推薦)
自己紹介= 1977 年北海道生まれ。埼玉大学を出て静岡で就職。神奈川・岩手と徐々に北上し現在北海道在住。暮らした土地の記憶をつないで小説を書いています。著書に『サーチライトと誘蛾灯』『蟬かえる』(2021.6)
推薦理由=泡坂妻夫のテイストに満ちた『サーチライトと誘蛾灯』デビューされ、『蟬かえる』が第21回本格ミステリ大賞を受賞されるなど、今後本格ミステリの書き手として活躍が期待されるので推薦いたします。(廣澤吉泰)

(2021.10.17発行)