2017年度 第17回本格ミステリ大賞

【小説部門】『涙香迷宮』竹本健治(講談社)
【評論・研究部門】『本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド』喜国雅彦、国樹由香(講談社)

 

5月12日開票の結果、大賞が以下の通り決まりました。候補作の獲得票数は以下の通り。
全選評は「ジャーロ」No.60 Kindle版に掲載されます。

【小説部門】 有効投票数 55票
『悪魔を憐れむ』西澤保彦 10票
『おやすみ人面瘡』白井智之 6票
『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』井上真偽 15票
『誰も僕を裁けない』早坂 吝 7票
『涙香迷宮』竹本健治 17票

【評論・研究部門】 有効投票数 19票
『顔の剝奪 文学から〈他者のあやうさ〉を読む』鈴木智之 1票
『現代華文推理系列』全三集 稲村文吾(訳) 5票
『鉄道ミステリーの系譜 シャーロック・ホームズから十津川警部まで』原口隆行 0票
『ぼくのミステリ・クロニクル』戸川安宣(著)、空犬太郎(編) 2票
『本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド』喜国雅彦、国樹由香 11票

受賞の言葉

  竹本健治
 今まで趣味の囲碁では賞なり冠なりいくつも頂いたのですが、本業の小説では賞と名のつくものは全くの初めてですので、素直に嬉しいです。
 本作に関しては、いろはの部分に「作った労力を想うと気が遠くなる」などという声をよく聞きますが、本人にとっては楽しんで作ったので、そこを評価されるのはくすぐったい気持ちです。
 重ねて有難ありがとうございます。

  喜国雅彦
 小学生のときに本格ミステリと出会って以後、僕のそばにはいつも本格ミステリがありました。たぶん、人生の歓びの4割ぐらいは本格ミステリに与えてもらっています。なのでいつかは本格ミステリに恩返しをしたいと思っていました。この連載が始まるときは、そんなこともチラと考えましたが、いざ再読を始めると、本格ミステリが愉しすぎて、そんなことはどうでもよくなってしまいました(お気づきだと思いますが〈本格ミステリ〉って何回言えるかチャレンジしています)。今回の受賞によって、ようやく〈恩返し〉という、当初の目的を思い出しました。みなさんどうもありがとうございます。そして由香ちゃん、おめでとう。

  国樹由香
 このたびは過分な賞をいただき大変感動しております。私の作風はいわゆるほのぼの系。重い作品は描(書)けません。だからこそこんなにも本格ミステリが好きになりました。『本格力』は私以上に本格の虜である喜国さんが好き放題に海外古典ミステリを評しまくっている本であり、私はというと何も評してはいないのです。私のパートを一言で説明するなら、一人の本格マニアを一番身近で見続けた人間による「観察日記」でしょうか。掲載一回で終わっていたはずの仕事。気が付けばこんな場所に立っていました。いまだ夢のようです。優しい目でお読みくださった皆さまと観察させてくれた?喜国さんに、最大級の感謝を捧げます。どうもありがとうございました!