2024年度 第24回本格ミステリ大賞

【小説部門】『地雷グリコ』青崎有吾(KADOKAWA)
【評論・研究部門】『ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 戦後翻訳ミステリ叢書探訪』 川出正樹(東京創元社)


候補作の獲得票数は以下の通り。
全選評は「紙の手帖」vol.17に掲載されます。

【小説部門】有効投票数 60票
『地雷グリコ』青崎有吾(KADOKAWA)……31票
『エレファントヘッド』白井智之(KADOKAWA)……13票
『可燃物』米澤穂信(文藝春秋)……7票
『アミュレット・ホテル』方丈貴恵(光文社)……6票
『涜神館殺人事件』手代木正太郎(星海社)……3票

【評論・研究部門】有効投票数 22票
『ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 戦後翻訳ミステリ叢書探訪』川出正樹(東京創元社)……9票
『密室ミステリガイド』飯城勇三(星海社)……5票
『ミステリ映像の最前線 原作と映像の交叉光線』千街晶之(書肆侃侃房)……4票
『現代ミステリとは何か 二〇一〇年代の探偵作家たち』限界研・編(南雲堂)……3票
『妄想アンソロジー式ミステリガイド』探偵小説研究会・編(書肆侃侃房)……1票

受賞の言葉

  青崎有吾
 たとえ狭義の「謎解き」に属さなくても、論理と逆転によって私たちに「なるほど」と感じさせてくれるものは、悉く本格推理なのではないか。
 そんな思いが年々強まり、けれどうまく説明できず、一度形にしてみたくて書いたのが『地雷グリコ』というゲーム連作です。
 本の帯からは「ミステリ」という惹句をあえて外しました。自分なりのフェアプレイのつもりでした。
 しかし結果として、多くの方に本格ミステリとして評価していただき、栄えある賞を賜ったことをとても嬉しく思います。
 これからも自分が面白いと思うものを、読者に納得してもらえるような形で書いていきたいです。

  川出正樹
 『ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 戦後翻訳ミステリ叢書探訪』は、戦後に編まれた翻訳ミステリの叢書・全集の中から個性的なものを探訪して編纂意図や収録作品などを調査した研究書兼ブックガイドであり、同時に自らの体験を交えつつ日本で海外ミステリがどのように受容され浸透していったかを眺め考察したクロニクルでもあります。「謎と解明さえあればミステリ」という緩く幅広いミステリ観の持ち主なので、本格物のみを取り上げているわけではありません。にもかかわらず本格ミステリ大賞を受賞できたのは、本を巡る探訪(インヴェスティゲーション)という行為が、ミステリの本質である謎の解明に通じると認めて頂いた結果ではないかと推理しました。本格ミステリ作家クラブ会員の皆様の懐の深さに感謝する次第です。ありがとうございました。