2020年度 第20回本格ミステリ大賞
【評論・研究部門】『モダニズム・ミステリの時代 探偵小説が新感覚だった頃』長山靖生(河出書房新社)
候補作の獲得票数は以下の通り。
全選評は「ジャーロ」No.73 Kindle版に掲載されます。
【小説部門】有効投票数 60票
『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』相沢沙呼(講談社) 24票
『教室が、ひとりになるまで』浅倉秋成(KADOKAWA) 11票
『或るエジプト十字架の謎』柄刀一(光文社) 9票
『紅蓮館の殺人』阿津川辰海(講談社タイガ) 9票
『滅びの掟 密室忍法帖』安萬純一(南雲堂) 7票
【評論・研究部門】 有効投票数 23票
『モダニズム・ミステリの時代 探偵小説が新感覚だった頃』長山靖生(河出書房新社) 10票
『シャーロック・ホームズ語辞典』北原尚彦(文)・えのころ工房(絵)(誠文堂新光社) 7票
『探偵が推理を殺す』小田牧央(the lomg fish/Amazon kindle) 3票
『短編ミステリーの二百年1』小森収(編)(東京創元社) 3票
『江戸川乱歩新世紀 越境する探偵小説』石川巧・落合教幸・金子明雄・川崎賢子(編)(ひつじ書房) 0票
受賞の言葉
相沢沙呼
多くの方に作品を本格ミステリとして評価して頂き、嬉しい気持ちでいっぱいです。
様々なジャンルの作品を書いていきたいと思う一方で、自分の中核にあるものはなんなのか、これからどのようなものを書いていくべきなのか、常に悩んできました。今回、こうして栄誉ある賞を頂きまして、本格ミステリを愛する自分の気持ちにやっと自信が持てたと実感しています。今後も多くのジャンルに挑戦しながら、本格ミステリを書き続けていきたいと思います。
これまで、多くの読者に支えて頂き、作品を書き続けることができました。この場を借りて、皆さまにお礼を申し上げます。
この度は誠にありがとうございました。
長山靖生
この度は栄誉ある賞を賜りまして、誠にありがとうございます。本格ミステリには強い憧れがあり、読むのは大好きなのですが、それだけに嬉しさと同時に申し訳ないような気もしております。いつも最後までトリックが分からず振り回される良き読者で、今度も望外の驚愕でした。何しろ扱ったのは殆(ほとん)ど変格物の話題。いいのでしょうか。でも危うい私の推論は、後期クイーン的問題を孕(はらみ)みつつも新本格っぽいかも……とか思ったりして(あっ、どうか授賞を取り消さないで!)。この御恩を励みに勇気を出して、本格ミステリ論にも真正面から挑めたらと願っております。これからもどうか宜しく御指導下さい。