2018年度 第18回本格ミステリ大賞

【小説部門】『屍人荘の殺人』今村昌弘(東京創元社)
【評論・研究部門】『本格ミステリ戯作三昧』飯城勇三(南雲堂)

 

5月11日開票の結果、大賞が以下の通り決まりました。候補作の獲得票数は以下の通り。
全選評は「ジャーロ」No.64 Kindle版に掲載されます。

【小説部門】 有効投票数 45票
『屍人荘の殺人』今村昌弘(東京創元社) 14票
『いくさの底』古処誠二(KADOKAWA) 12票
『マツリカ・マトリョシカ』相沢沙呼(KADOKAWA) 7票
『彼女の色に届くまで』似鳥 鶏(KADOKAWA) 6票
『ミステリークロック』貴志祐介(KADOKAWA) 6票

【評論・研究部門】 有効投票数 27票
『本格ミステリ戯作三昧』飯城勇三(南雲堂) 13票
『【「新青年」版】黒死館殺人事件』小栗虫太郎、山口雄也〈註・校異・解題〉(作品社) 8票
『江戸川乱歩と横溝正史』中川右介(集英社) 3票
『乱歩と正史 人はなぜ死の夢を見るのか』内田隆三(講談社選書メチエ) 2票
『ミステリ国の人々』有栖川有栖(日本経済新聞出版社) 1票

受賞の言葉

  今村昌弘
 このたびは本格ミステリ大賞という大変名誉ある賞に選んでいただき、ありがとうございます。素晴らしい先生方に交じって候補に挙げてもらっただけでも感激しておりましたので、今は嬉しさを越して恐れ多く感じるような、なんともいえない気分です。
 この『屍人荘の殺人』は本格ミステリの賞である鮎川哲也賞作品ということもあり、刊行以来いろんな場所で話題にしていただきましたが、そのきっかけを作ってくださったのは本格ミステリ作家クラブをはじめ、ご活躍されている先生方のお声でした。深く感謝しております。
 今回選んでいただいたのは私の実力への栄誉ではなく、今後ミステリ作家として頑張るようにという皆さまからのエールだと解釈し、賞の名に恥じぬよう地力をつける努力を続けようと思います。

  飯城勇三
 このたび、拙著『本格ミステリ戯作三昧』にとって最高の名誉となる〈本格ミステリ大賞〉をいただき、無上の喜びを感じております。票を投じてくださった皆さんに、原型作品の発表舞台となったファンクラブに、そして、こんな珍妙な本を出してくれた南雲堂の星野氏に、お礼の言葉を述べさせてもらいます。ありがとうございました。
 しかし、私が最もお礼を言いたいのは、こういった前代未聞の奇妙なアプローチが可能な〈本格ミステリ〉という豊潤で魅力的なジャンルに対してです。他のどんなジャンルで、こんな本が出せるというのでしょうか?
 これまで〈本格ミステリ〉というジャンルを発展させてきたすべての作家(……ネタにした作家は特に)、評論家、出版関係者、そして読者の方々に感謝します。