2022年度 第22回本格ミステリ大賞
『黒牢城』米澤穂信(KADOKAWA)
【評論・研究部門】『短編ミステリの二百年1~6』小森 収(編)(創元推理文庫)
候補作の獲得票数は以下の通り。
全選評は「紙の手帖」vol.05に掲載されます。
【小説部門】有効投票数 63票
『大鞠家殺人事件』芦辺拓(東京創元社) 15票
『黒牢城』米澤穂信(KADOKAWA) 15票
『六人の嘘つきな大学生』浅倉秋成(KADOKAWA) 12票
『蒼海館の殺人』阿津川辰海(講談社タイガ) 10票
『救国ゲーム』結城真一郎(新潮社) 6票
【評論・研究部門】有効投票数 23票
『短編ミステリの二百年1~6』小森 収(編)(創元推理文庫) 11票
『犬神家の戸籍 「血」と「家」の近代日本』遠藤正敬(青土社) 5票
『新世代ミステリ作家探訪』若林 踏(光文社) 3票
『法月綸太郎ミステリー塾 怒濤編 フェアプレイの向こう側』法月綸太郎(講談社) 3票
『米澤屋書店』米澤穂信(文藝春秋) 0票
受賞の言葉
芦辺拓
二十二回中六度--この数字は人によっては恥ずかしいものかもしれませんが、私にとってはまさに挑戦の記録でした。「本格」を評価軸とする賞が生まれたのは喜ばしいことでしたが、それは年に一度、このジャンルを愛する人々の手で審判が下されることでもありました。ために、賞の候補に選ばれ、あるいは選ばれぬたびに反省と変革を重ねてきたといっても過言ではありません。
今、そこから一歩進み出ることができ、しかも若いながらはるか先を行く才能と並び得たことは、私の最も喜びとするところです。これからは、以前より少しは迷いなく書き続けてゆくことができるでしょう。何よりそのことに御礼申し上げます。
米澤穂信
本格ミステリであることは小説の何かを諦めることを意味せず、逆もまた真であることを、幾人もの先達の幾多の傑作に教わってきました。『明治断頭台』の、あの血まみれの最終章を本格ミステリが描き出した小説の到達点の一つと仰ぎ見て、せめてその足元には及びたいと願って書いたものが『黒牢城』です。その小説がいま、本格ミステリとしての栄誉ある賞を受けたことを、心から光栄に思います。ありがとうございました。
小森収
『短編ミステリの二百年』は、様々な人たちの支援と助力のうえに出来上がっています。収録短編を翻訳してくださった、深町眞理子、猪俣美江子、直良和美、藤村裕美、門野集、白須清美の各氏。編集部内で支えてくれた小浜徹也、桑野崇、宮澤正之の各氏。伊藤朗子、菅治代、佐藤瞳、添田理沙、田中久紀子、田中睦美、外岡千代子、平賀寿子、星野真理、他匿名希望の五名を含めた校正各位。装丁の中村聡、装画の柳智之ご両名。ありがとうございました。