2019年度 第19回本格ミステリ大賞

【小説部門】『刀と傘』伊吹亜門(東京創元社)
【評論・研究部門】『乱歩謎解きクロニクル』中相作(言視舎)

 

5月10日開票の結果、大賞が以下の通り決まりました。候補作の獲得票数は以下の通り。
全選評は「ジャーロ」No.68 Kindle版に掲載されます。

【小説部門】 有効投票数 49票
『刀と傘』 伊吹亜門 (東京創元社) 16票
『夏を取り戻す』 岡崎琢磨( 東京創元社) 11票
『パズラクション』 霞 流一 (原書房) 11票
『アリバイ崩し承ります』 大山誠一郎 (実業之日本社) 6票
『碆霊の如き祀るもの』 三津田信三 (原書房) 5票

【評論・研究部門】 有効投票数 22票
『乱歩謎解きクロニクル』 中 相作 (言視舎) 9票
『娯楽としての炎上』 藤田直哉 (南雲堂) 7票
『刑事コロンボ読本』 町田暁雄 (洋泉社) 3票
『21世紀本格ミステリ映像大全』 千街晶之・編著 (原書房) 3票
『本格ミステリ漫画ゼミ』 福井健太 (東京創元社) 0票

受賞の言葉

  伊吹亜門
 この度は栄誉ある賞を頂き、誠にありがとうございます。
 中学生の時に読んだ横溝正史で本格ミステリの世界に迷い込んで以降、今日に至るまで行きつ戻りつ赤い夢の世界に淫してきました。そんな自分の作品が、今回の受賞によって本格ミステリだと認めて頂けましたことはこの上ない誉れと感じております。
 これからも書いていきたい物語は山ほどありますが、そのいずれにも「本格ミステリ」の看板を掲げることが出来るよう、今後も精進して参ります。
 この度は誠にありがとうございました。

  中相作
 どうもありがとうございます。江戸川乱歩はデビュー当初から変格派、不健全派の名をほしいままにしていて、海外の本格探偵小説に開眼したあとも本格作品は書けず、読者からは変格派と見做されつづけた人でした。そんな事情も手伝ったのか、この賞にノミネートしていただいたときにはとても意外でびっくりしたものでしたが、私自身がまたずいぶんな変格派ですから、マイナスかけるマイナスでプラスの本格に転じたということでしょうか。芦辺拓先生をはじめご推挽をいただいたみなさんに心からお礼を申しあげます。天国の乱歩も喜んでくれているだろうと思います、と素直にはいえないような気もするのがちょっとつらいところですが。